抜けてしまった歯の修復方法で「ブリッジ」と「入れ歯」を提案され、どちらにしてよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
決定するにあたり専門的なことが難しくて解らなかったり、また入れた後になって後悔したりしたくありませんよね。
ブリッジと入れ歯にはそれぞれ費用や治療期間、処置後の操作方法などに違いがあります。
是非ご自身に合った治療法を選択する際の参考にされてみてください。
ブリッジと部分入れ歯を徹底比較!あなたに向いているのはどちら?
1. 隣の歯を削る必要があるブリッジと、バネで固定する部分入れ歯
ブリッジは、固定するために抜けた歯の両側の歯を削る必要があります。
両側の歯が虫歯による修復を行ったことが無いような健康な歯であっても削るため、
大きく負担をかけてしまうことになります。入れ歯の場合は失った部分のみ人工的な修復物で補います。
隣の歯を削ることはありませんが、代わりにバネで固定します。
2. 気になる費用面…保険適用はどちらも可能!
負担する費用に関しては、どちらも保険適用の修復方法です。
違いがあるとすれば、修復する材料によって保険適応外の材料を選択すれば金額がアップします。
ブリッジは歯冠部分の人工歯を天然の歯に近い素材を選択した場合。
入れ歯は人工歯の部分や歯茎に当たる義歯床という部分の素材や、固定用バネのクラスプというものをさらに良質な材料で選択した場合に保険適応外になります。
3. 噛む力はブリッジが勝る
修復後、食事等での噛む力の回復度はどう違うでしょうか。
ブリッジは1本の歯を損失した場合、歯にかかる咬合圧を連結した3本の歯で受けることになります。
入れ歯の場合は損失した部分のみの修復なので1点で受けることになります。
そこで入れ歯の場合、噛む力は健康な時に比べて30~40%くらいになってしまいます。修復後の噛む力でいえばブリッジのほうが高いです。
4. 部分入れ歯は取り外して手入れができる!
ブリッジは失った歯の両側の歯質を削り、3本連結した形の修復物を取れないようにセメントで接着します。
そこで修復物と歯茎との隙間に汚れが溜まりやすく、歯ブラシだけではなかなか落としにくいことがあります。
その点、部分入れ歯の場合は取り外しが可能なため、装置は取り外して清掃し、欠損部の両側の歯もお掃除しやすいのが利点です。
5. 欠損数が多いとブリッジでは難しい……
ブリッジの適応は「少数歯欠損」といって、欠損している歯が多いと適用できません。
力学的に両側の支える歯への負担が大きすぎて無理だと言う判断です。
例えば3本欠損部分であれば、両側の支えを連続2本以上取るなど、健全歯の負担が大きくなります。
また、長期の安定も望めないかもしれません。入れ歯であれば本数に制限なく欠損した部分の修復が可能です。
6. 一番奥の歯にはブリッジができない
ブリッジの適応には、両側に支えとなる歯があることが原則になります。片方だけの支えでは噛む力に耐えることができないためです。
そこで一番奥の歯が抜けてしまった場合は、支えが片側だけになってしまうためブリッジで修復できません。
入れ歯はひとつ手前の歯にバネをかけての固定なので一番奥の歯であっても適応できます。
自分に合った入れ歯を作るために大切なこと
入れ歯とブリッジの違いがわかったところで、今度は自分に合った入れ歯を作るために重要なことは何なのか、見ていきましょう。
入れ歯専門医に依頼しよう
お口の中はとても繊細にできており、若干のズレや違和感でも気になってしまうものです。
特に入れ歯は他の装置に比べて、歯茎と接する部分も多くなるため、お口にピッタリと適合する入れ歯の製作はなかなか難しいのが現状です。
昨今、入れ歯を専門分野として開業する歯科医院もあります。専門医であれば、保険適応の入れ歯以外にも、さまざまな選択肢を提案してくれることでしょう。
合わないからといってあきらめず、調整してもらおう
どんなにピッタリに仕上げても、入れ歯は取り外しを繰り返すことや、お口の中の変化によってどうしても合わなくなってしまうもの。
そこで「合わないから」とか「付けていると痛いから」といって外したままにしておくと、残された歯に悪影響を及ぼしてしまう可能性も。
歯科医院であきらめずに調整してもらい、お口に合うようにしましょう。
自費の素材も視野に入れよう
保険適応の入れ歯は、決められた素材のみで製作することが決まっています。
保険適応の素材は厚みのある状態に仕上がってしまうため、どうしても入れ歯が目立ってしまいます。また、素材の耐久性上、あまり薄くできないことから、違和感によってなかなか慣れないという人もいます。
自費診療の入れ歯であれば、たくさんの素材や入れ歯の種類があり、好みの厚みや素材から選ぶことができます。
料金は割高になってしまいますが、自分のお口に合った入れ歯を作ることを一番の条件にされるのであれば、ぜひ検討されることをおすすめします。
自分に合ったブリッジにするために大切なこと
続いて、ブリッジについても作製の上で大切なことを見ていきましょう。
数年に一度、外してメンテナンスが必要です。
ブリッジは両側の歯と連結された装置で、歯科用の接着剤でしっかりと合着されているため、入れ歯のように外して清掃することができません。
人工歯の部分と天然歯の隙間に食べかすや汚れが溜まり、気づかないうちに隠れた部分から虫歯になってしまうことがあります。ブリッジの下で気づかないうちに進行し、装置が土台と合わなくなり、ズレたり外れてしまうことも。
ですから、ブリッジは一度いれたらそのままにしておくのではなく、定期検診を受けて数年に一度、外して問題が無いかメンテナンスを受けることをおすすめします。
ブリッジの初回メンテナンスは2年以内に
保険適応でブリッジを製作した場合、「補綴物維持管理料」が治療費に含まれます。
これには、製作してから2年以内にブリッジが破損した場合や、虫歯の治療が必要になった場合などの不具合を治すため治療費が含まれています。
ブリッジに不具合が起きていないかメンテナンスに行くのであれば2年以内がおすすめです。
ただし、補綴物維持管理料を取っていない場合や保険適応外のブリッジの場合、また年齢が6歳以下の場合や在宅医療の場合など、対象外の場合もあるので注意が必要です。
確認できるのであれば、ブリッジ装着時にかかりつけの歯科医院に確認を取っておくのもよいかもしれませんね。
保険適用のルールは難しい!自分の場合どうなのか、しっかり確認しよう
歯科の装置や材料などには、保険適応の範囲が決められており、適応の範囲やルールがあります。その範囲外の部分までブリッジにすることや、違う素材でブリッジを製作したい場合には、保険外になる場合もあります。
歯を失った部分の修復をブリッジでおこないたい場合、自分の場合は保険の範囲内で製作できるのかということや、強度などをしっかり歯科医院で相談しておきましょう。
隣の歯を削るからには、後悔のない選択をしよう
ブリッジは、失った歯の両側の歯と連結した装置になります。ですから、支えとなる両側の歯の歯冠部分を、装置を被せるための土台として削ることになります。
もしも、抜けた歯の両側の歯が、銀歯などの修復もなく天然歯であった場合、健康な歯の質を削ることになってしまうのです。
一度削ってしまうと元には戻すことができませんから、隣の歯を削ることになっても後悔しないよう、よく検討して決めるようにしましょう。
できる・できないは人それぞれ!歯科医院に相談しよう!
ブリッジと入れ歯には、それぞれにメリットとデメリットがあります。
また、ブリッジに関しては支える歯の負担を考慮して適応できないケースもあります。
これまで挙げてきた特徴は一般的に言えることです。最適な方法は、個人のお口の状態によって千差万別です。
信頼できるかかりつけの歯医者とよく相談して決定することをおすすめします。