入れ歯にしてから、「口内に違和感がある」という人や、身体に「原因不明の湿疹が出た」ということはありませんか?
それはもしかしたら「金属アレルギー」なのかもしれません!
入れ歯や修復物に使われている金属が原因で、どんなことが起こり得るのでしょうか。
また、起こった際にはどう対処したらよいのか、予防するにはどうしたらよいのか、ご紹介いたします。
入れ歯のクラスプが原因で起こる金属アレルギー3つの症状
歯科治療に使用する金属は、経年とともにイオン化し、溶けだして体内に取り込まれてしまいます。
この金属イオンが体の免疫細胞に過剰に反応し、アレルギーを引き起こすことがあるのです。
では、金属アレルギーの人が金属のついた入れ歯を使うと、どんな症状が起こる可能性があるのでしょうか?
1.接触する口内や舌が炎症を起こす
直接金属と接触することにより口内に炎症が起こります。
口内炎、歯肉炎、口唇炎、舌炎、口腔扁平苔癬などとして現れます。
2.手足に水泡のようなものができる
金属アレルギーの症状としては、手や足の裏に膿をもった水疱ができることが最も多いとされています。
皮がボロボロとむける、関節痛を併発するなどの症状があれば掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)であるかもしれません。
3.全身に皮膚炎ができる場合もある
金属アレルギーといえば、金属をつけた箇所の周辺が炎症を起こす症状を思い浮かべると思います。
しかし金属がイオン化して体内に取り込まれると、お口の中だけでなく全身のさまざまな場所に皮膚炎として現れることがあります。
金属アレルギーの悪化を防ぐためにできること
アレルギーは一度発症してしまうと、体質をもとに戻すことは難しいものです。
しかし、出現を予防したり、悪化を防いだりするための対策はあります。
1.錆びた金属の詰め物は取り除く
詰め物の金属はすぐにイオン化することはありませんが、経年とともに溶け出して金属アレルギーを発症してしまう可能性はあります。
随分前に金属で虫歯を修復したという人は、外れたりしなくても歯科医院で診てもらい、状態によっては取り替えることもひとつの予防策です。
2.金属のアクセサリーを避ける
アクセサリーなどから金属アレルギーを発症すると、それによって、今まで平気だった歯の詰め物や入れ歯にも反応する体質になりかねません。
日頃から身に着けるアクセサリーに気を付けることも、予防策に繋がります。
3.規則正しい生活をして、体力を保つ
アレルギーは、今まで大丈夫だったはずなのに、免疫力が落ちている時期に発症することがあります。
なので、日頃から規則正しい生活リズムを作り、体力を保っておくことも、アレルギーを発症しにくい体質に繋がるのではないでしょうか。
金属を使わない歯科治療を選ぼう
では金属アレルギーの人は、歯の詰め物も入れ歯も出来ないのでしょうか。
いえ、そんなことはありません!
昨今では治療技術の進歩により、金属を使わない最先端の歯科治療が開発されています。
1.オールセラミック
通常、銀歯を被せて修復するところを、冠全体をセラミック(陶器素材)で作った被せ物や差し歯で修復することができます。
高い審美性と強度を併せ持ち、保険適用外の診療になります。
2.コンポジットレジン
ペースト状の薬剤を虫歯治療で削った部分に詰め、光を当てて修復するものです。
唾液で溶けにくく、アレルギー反応を起こしにくい素材とされています。
金属の部分的な詰め物をしている方はこちらに置き換える治療を行うことで予防策になります。
保険適用治療です。
3.スマイルデンチャー
弾力性のあるナイロン樹脂で作られた入れ歯です。
金属を使わず素材の特性を活かして保持するため、金属アレルギーのある人にはおすすめの入れ歯です。
保険適用外診療になります。
まとめ
お口の中から発症する金属アレルギーは、お口の中だけでなく全身に発疹や湿疹などを引き起こすことがあります。
アレルギーを持っていない人でも、今後発症するかもしれません。
元々金属アレルギーの人は、虫歯の治療や入れ歯作成に使用する素材を決める際、よく説明を受けて検討しましょう。
もし、他に原因が考えられず「金属アレルギーかな?」というような症状がある場合は、歯科に相談してみましょう。