入れ歯安定剤を使うべき3つの理由と使い方のポイント

 

よくテレビなどで「入れ歯安定剤」のCMを見かけますよね。

いまいち必要性がわからないう方もいるかもしれませんが、実はそれ、上手に使うことで入れ歯生活をより快適にすることができる優れものなんですよ。

 

今回は入れ歯安定剤についてのご紹介や、使用することでのメリットやデメリットに関することまで詳しく考察してみましょう。

購入に迷われている方はぜひご覧ください。

 

そもそも入れ歯安定剤ってどんなもの?

 

入れ歯の維持・安定が悪い場合に、入れ歯と歯茎の間を接着させて一時的に安定させる製剤です。

さまざまな種類があり、入れ歯の種類や使用者の悩みによって使いわけが必要になります。

 

入れ歯安定剤にもいろいろな種類がある!

 

入れ歯安定剤は固定方法によって「粘着タイプ」と「クッションタイプ」に分かれます。

粘着タイプにはさらにクリームタイプ、粉末タイプ、シートタイプという種類があります。

 

1.クリーム

 

粘着作用によって入れ歯を安定させる製剤です。

クリーム状なので均等に伸びが良く、入れ歯と歯ぐきを密着させて義歯安定をはかります。

密着させる際にはみ出したクリームが入れ歯以外の粘膜に付着するとなかなか除去しにくいので注意が必要です。

 

・レジン床、金属床の入れ歯に使用可能です。

 

使用方法

 

2.粉末

 

入れ歯の床の部分に粉を広げ、粘着作用により入れ歯を安定させます。

粉末が水分によって密着するため、クリームよりも薄く付いても密着し、違和感が少なく感じます。

入れ歯を乗せる顎堤が平坦だと、粉末がこぼれやすくうまく広がりにくいのが難点です。

 

・レジン床、金属床の入れ歯に使用可能です。

 

使用方法

 

3.シート

シート状になった接着剤を適応箇所のサイズにカットして貼り付ける製剤です。

操作がしやすく、携帯に便利です。

密着させるときに、シート状のものが伸びるのですが、うまく広がらない場合があり、ずれが生じることがあります。

 

・レジン床、金属床の入れ歯に使用可能です。

 

使用方法

 

4.クッション

 

クッション性のある材質で、入れ歯の床の部分に貼り付けて使用します。

安定させるとともに、噛んだ時に起こる痛みなどを緩和する作用もあります。

べたつきが少なく、2~3日連続使用が可能です。

 

しかし均等に広がらない場合があり、続けて使用することなどで噛み合わせにずれが生じることも。

長期に使用すると粘膜の炎症や顎骨の吸収などが起こることもあります。

 

・レジン床には使用できますが、金属床には使用不可です。

 

使用方法

 

入れ歯安定剤を使うべき3つの理由

1. グラつきが改善され、食事がしやすくなる

 

入れ歯の安定を図ることで、食事の際に噛むと動いて食べ物が噛み辛いというような「グラつき」を改善します。

 

2. クッションの役目を果たし、痛みが改善する

 

噛みしめる時に、歯茎と床の部分が当たって痛みを感じる場合、入れ歯安定剤がクッションの役目を果たすことで痛みを軽減することにも繋がります。

 

3. 隙間が埋まるので、会話がしやすくなる

 

入れ歯にすると、歯茎と床のわずかな空隙でも発音しにくくなることが多いとされています。

隙間を安定剤が埋めることで空気漏れによる発音障害を防ぐことができ、会話がしやすくなります。

 

入れ歯安定剤についての素朴な疑問をすっきり解決!

 

入れ歯安定剤の重要性や種類についてご紹介しましたが、実際に使ってみるには、まだまだご不安なところがあるかと思います。

入れ歯安定剤にまつわるさまざまな疑問を解決していきましょう!

 

Q1.入れ歯安定剤は熱湯で洗って取り除いてもいい?

 

一度カチカチに固まってしまった入れ歯安定剤は、なかなか自分で取り除くことが難しくなってしまいます。

熱いお湯をかけると、安定剤が緩んでくれそうな気がしますが、それでは入れ歯自体の素材も一緒に変形させてしまう可能性があるのです。

入れ歯は「レジン」という素材でできており、熱いお湯(60度以上)をかけると形が変わってしまいます。

入れ歯が変形してしまったら、元に戻すことができず、歯科医院で調整するだけでは難しくなることもあります。自己判断でお湯をかけたりしないようにしてください。

 

Q2.入れ歯安定剤を使ったら、外れなくなってしまった!

 

入れ歯安定剤と顎堤が密着し過ぎて外れなくなってしまった場合、まずはお湯を口に含んで義歯を温めてみましょう。

この時、入れ歯自体の変形を防ぐため、熱いお湯は避けてください。

60度以下のお湯を5分程度口に含んでみましょう。入れ歯安定剤が柔らかくなって外れることがあります。

それでも外れない場合は、無理に外そうとすると、入れ歯の破損に繋がってしまいますので、義歯を作った歯科医院を受診して外してもらうことをおすすめします。

 

Q3.部分入れ歯に使える入れ歯安定剤はあるの?

 

部分入れ歯には、もともと安定させるためのクラスプというバネがついていますので、入れ歯安定剤を使わなければいけないほど浮くようなことは無いでしょう。

もしどうしても使用したいのであれば、クリームタイプであれば使用可能です。

気を付けなければならないのは、バネに付着させてしまったりしないこと。また、入れ歯安定剤の使用によって、入れ歯とバネの隙間に汚れが溜まりやすくなることがあるので注意しましょう。

 

Q4.入れ歯安定剤を口から飲み込んじゃった!大丈夫?

 

もともとお口の中で使用するものですから、体に害のある成分は入っていません。

もし誤って飲み込んでしまっても、体内には吸収されずに排出されますのでご安心ください。

ただし、特にお年寄りに関しては、固まったものを取り外す際に誤って飲み込み喉に詰まらせるようなことにならないように、取り扱いには十分注意するようにしてください。

 

Q5.入れ歯がグラグラしているけれど、安定剤を使えば問題ない。歯医者に行くのも面倒だし、このままでいい?

 

入れ歯安定剤を、入れ歯が合わない部分を補うために使用する方がいます。入れ歯安定剤ばかりに頼っていると、歯茎の土手の部分に適度な刺激が伝わらず、著しく退縮することがあります。そしてまた合わなくなって安定剤を盛り足して使用を続けるということになってしまいます。

長期間の使用は、お口にもさまざまな影響が出てしまうため、あくまでも入れ歯を使用する際の補助具として考え、グラグラするほど合わなくなった時には歯科医院で入れ歯の調整を受けましょう。

 

あくまで一時しのぎ!使用し続けると危険なことも・・・

1.歯ぐきが退縮してしまう

 

入れ歯安定剤は歯茎と入れ歯の間に入ります。

それによって刺激が歯茎や顎骨に伝わりにくくなり、逆に歯ぐきが痩せて退縮してしまうことになりかねません。

 

2.入れ歯が不適合のままになってしまう

 

安定剤にさらに安定剤を重ねるように頼っていると、本来の入れ歯の不適合を見落とし、修理を先送りにしてしまう危険性があります。

 

3.修理不可能になることも!

 

入れ歯安定剤を何度も重ね常時使っていると、いざ歯科医院で調整しようと思った時に不都合が起こることがあります。

安定剤がこびりつき修理しにくく、作り変えないと対応できない場合もあります。

 

まとめ

 

入れ歯安定剤は、正しい使用方法であれば便利な製剤です。

お悩みに対しての一時的な解消法として使用するのは問題ありませんが、頼り切って長期使用するのはおすすめできません。

不都合が長く続く場合には、まずかかりつけの歯科医院を受診しましょう。